よそ者ササヤマンから見た篠山

兵庫県篠山市に生まれたけれど今は住んでいないササヤマンのブログ。篠山について外からの視点でいろいろ書ければと思います。

篠山市は2040年に1クラス13人

☆人口減って何が困るかイメージしよう

篠山市の人口は2040年には約3万3千人になると推計されています。

2010年時点で約4万3千人ですから、
30年間で1万人、24%が減少することになります。

というようなことを書くと、
「人口減少対策だ、地方創生だ、京丹後市みたいにV字回復目指すぞ」
となりがちなのですが、

一歩立ち止まって、
このような人口減少した社会がどのようなものか、
どのくらい不都合があるのか、
ということを想像してみるといいと思うのです。

「意外になんとかなるのかも」しれません。
それなら、「人口増やす」っていう施策よりも
「人口減少社会にうまくソフトランディングする」という施策の方が
意義が出てきます。

「やっぱりなんとかならない」のなら、
「何がなんとかならないか」確認しましょう。
それが「バス運行」とか「IT技術の活用」とか
個別の施策でカバーできるのであれば、
「人口○%増」という施策よりもはるかに簡単に実現可能です。

それでも「どうしても他でカバーできない部分」を見極めることで
篠山市が本当に保たなければならない人口が見えてくると思います。

☆2040年には1クラス13人に

2010年の篠山市
  5~ 9歳人口は、 1765人
 10~14歳人口は、 2073人
です。

小学生の人口ということで7~12歳人口を求めると、

  1765 / 5 × 3
+ 2073 / 5 × 3

= 2303人

です。

統計資料によると、
2010年度の篠山市の学級数(単式・複式))は
103学級ですから、

2304 / 103

= 22人

が1クラスあたりの児童数になります。


同じように2040年の小学生の人口を求めると、
1329人になります。

仮に、同じだけのクラスがあるとすると、
1329 / 103

= 13人

1クラス13人、これが2040年の篠山市の姿です。


☆地域によって偏りがある

1クラス13人というのは、篠山市全体での平均なので、
もう少し各学区ごとに見てみます。

現時点で各小学校のHPに公表されている児童数とクラス数をもとに、
2040年での推計される児童数と1クラスあたり人数を
表にしてみました。(注1)



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多紀エリアにある福住、大芋、村雲の3校の児童数が一ケタ台で
クラスの維持が困難に見える一方で、
現在でも児童数が多い味間については、20人以上となります。
クラス数を調整すれば、30人程度にすることも可能でしょう。

☆まずは統廃合や通学バスなどの目に見える政策を

このように見てみると、
近隣の小学校同士での統廃合などが
まずは考えるべき選択肢となるでしょう。

篠山市立小中学校適正配置等審議会」において、

福住、 大芋、 村雲の
多紀地区3小学校を
「統合するのが望ましい」


とする答申が出されていますが、
この3校を統合した場合、
1クラスあたり13人を維持することができます。

通学距離が長くなるのであれば、
通学用のバスを運行させるなどの施策が考えられます。

仮に費用が年間に1千万円かかるとしても、
3校のランニングコストよりは安くつきます。

地域のコミュニティとのつながりがなくなるというのであれば、
学童保育を地域単位の公民館などで行うだとか、
運動会などのイベントを統合前の地域ごとで行う工夫も考えられます。

上記のバスの運転や学童保育、クラブ活動などを
地域の住民が行えば、
たとえ物理的な学校の距離が離れても
児童とのふれあいを増やすこともできるでしょう。

「小学校がなくなると地域のつながりがなくなる」
という人もいますが、
地域の子供たちとのつながりを保てるように
自分たちで汗をかいて
いろいろとやってみるべきではないでしょうか。

「人口をV字回復させます」と宣言するより、
よほど地に足の着いた取り組みができると思います。


☆人口減少対策≠人口増施策

今回は小学校の児童数で考えてみましたが、
人口減少で何が困るかというのは
いろいろな角度から議論が可能です。

そして、学校の統廃合などの議論でもあるように、

「人口減少により生じる問題の解決策は
必ずしも「人口増」施策である必要はない」のです。

個別の施策で対応ができるものもたくさんあります。

人口増加を声高に叫ぶ前に、
まずは個別の問題の解決を通じて、
変化に対応することこと

本当に「人口減少に向き合う」ということだと考えます。

ではではまた次回。


(注1)

2015年3月24日現在で
各小学校のHPに掲載されている児童数を用いました。

発見できなかった部分は不明としています。

篠山市の人口の推計(社会保障・人口問題研究所)のうち、
7歳~12歳人口の
2015年から2040年までの変動にあわせて
各小学校の児童数を推計しました。


※追記 2015.4.1


上記のシミュレーションにおいては、
社会保障・人口問題研究所の推計を使用していますが、

そのなかでも
「封鎖人口」=人口移動がない前提のシミュレーションを使っていました。

人口移動がある前提のシミュレーションを使うと
もっと篠山の人口見込みは厳しくなります。

2040年:29,852人 (人口移動あり)
      32,803人 (人口移動なし)

したがって、上記のシミュレーションよりも
実際には厳しい推移になると予想されます。


今後の見込みについては、人口移動ありのものを前提に行います。