よそ者ササヤマンから見た篠山

兵庫県篠山市に生まれたけれど今は住んでいないササヤマンのブログ。篠山について外からの視点でいろいろ書ければと思います。

地方創生は単なるバラマキか?否、劇薬入りのバラマキである。

☆地方創生の4つの柱


人口減少を食い止めるために
国が発表した地方創生の総合戦略において
4つの政策の柱が示されています。


http://www.kantei.go.jp/jp/singi/sousei/pdf/20141227siryou4.pdf

(1)地方にしごとをつくり、安心して働けるようにする

(2)地方への新しいひとの流れをつくる

(3)若い世代の結婚・出産・子育ての希望をかなえる

(4)時代に合った地域をつくり、安心なくらしを守るとともに、地域と地域を連携する


この4つの政策のうち、
もっとも地方自治体が今頭をひねっているのはどれでしょうか?

おそらく(1)あるいは(2)だと思います。
(1)は雇用の確保、(2)は移住の促進などが軸になります。

いわゆる「地域活性化」といわれ、
これまでも取り組まれてきたテーマです。


しかし、
ササヤマンは人口が減少していくというときに
それにどう対応するかという観点からは、

(4)が一番大事なのだと考えます。



では、
(4)の「時代に合った地域」とは
いったいなんでしょうか?



個別の(4)の施策をいくつか見てみると、
その姿が少しずつ見えてきます。



  • 「小さな拠点」(多世代交流・多機能型)の形成
  • 公立小・中学校の適正規模化
  • 都市のコンパクト化と周辺等の交通ネットワーク形成
  • 公共施設・公的不動産の利活用についての民間活力の活用
  • 空き家対策の推進
  • インフラの戦略的な維持管理・更新等の推進


なんとなくですが、
人口が減っていくことを前提として、
いかにそれに対応した社会システムにするかという施策群

見えてきませんか?


このなかには、人口を減らさない、
という意味での効果が大きい政策はありません。

しかし、人口が減っても困らない、
という意味での効果が見込まれる政策です。



ここで、木下斉氏の以下の記述を読んでみてください。

少なくとも少子高齢化問題は20年以上前から指摘されてきた問題です。
私が小学生の頃から学校の教科書にのっていた社会問題でした。
予測されていたのです。

これからも人口は一定の予測が可能なものごとです。
それに対応して、自治体経営そのものを見直していくことのほうが
確実かつ必要な政策であると思います。

大手予備校の代々木ゼミナールは、
20年以上前から、来たるべく少子高齢化による生徒数減少を想定し、
ホテルや高齢者住居への転用等を想定して自社ビルを
建てていました。

昨今、地方の代々木ゼミナールを閉校し、
計画通りにリノベーションして使うようになっています。

一方で、全国の地方都市の駅前には、この10年以内に開業したにも関わらず、
ほぼ廃墟になっている公共施設が入った再開発施設が山ほどあります。

この差はどこからくるのか。
経営の持続可能性に対する意識の差であると言わざるをえません。

「地方創生」論議で注目、増田レポート「地方が消滅する」は本当か? 木下斉 (THE PAGE) - Yahoo!ニュース



同じことを地方自治体でもできるのか?



それを問うている点において、
ササヤマンは(4)が地方創生の一番の肝だと考えます。


☆「時代にあった地域」は官僚たちの良心?

地方創生については、
与党の統一地方選対策といわれることが多くあります。


そして、実際にはばらまきの側面も否定できません。


一方で、
この4つめの「時代に合った地域」を
地方自治体にとっては必ずしも楽しいものではありません。


(インセンティブはあるにせよ)
お金がどんどんもらえるという話ではなく、
今よりも撤退、集約化していく話が大半であり、
住民にも理解してもらう必要があります。


政治的にはよほどの覚悟がなければ進めにくい。



しかし、
地方自治体が真摯に取り組めば、
人口減少下でもなんとか生き残っていけるための知恵になっています。


こんな政治的にはあまり楽しくないテーマを、
統一選対策の甘い味がする政策群の後に
4つめの柱として盛り込んでいるのは、


ササヤマンは官僚の良心(があるのかは知りませんが)
だと信じたい。


この4つめの劇薬を飲んだ自治体は、
きっと生き残っていけるでしょう。



これから続々と地方自治体の地方創生の戦略が打ち出されていくと思いますが、
ササヤマンとしては、

この4つめの「時代に合った地域」について
どれだけその自治体が考えているのか

そこに注目したいと思います。


ではではまた次回。