よそ者ササヤマンから見た篠山

兵庫県篠山市に生まれたけれど今は住んでいないササヤマンのブログ。篠山について外からの視点でいろいろ書ければと思います。

兵庫県の市町の人口パターンを分析してみる

岐阜県の地方創生の市町村の類型化フレームは結構使える

地方創生について、
都道府県でも総合戦略を策定する動きが加速していますが、

ササヤマンが「結構いい分析だなあ」と思ったのが、
岐阜県の人口ビジョン分析です。

http://www.pref.gifu.lg.jp/kensei-unei/seisaku-plan/chiho-sosei/index.data/gifujinkou-zantei-honpen.pdf


特に県内移動については、

県内における社会移動を見てみると、
日常移動(通勤)の延長線上にあり、
昼夜人口比率(夜間人口100 人当たりの昼間人口)の
高い都市を中心に、近隣市町村との間に
社会移動の関わりの深いエリアが形成されていることが分かる。


という分析を示しています。


これは、
「通勤先と転出先」や「通勤先と転入元」が
一致する傾向
にあるということです。


ためしに兵庫県下で分析してみる(詳細は下表参照)と、

41市町中
30市町が「通勤先と転出先が一致」し、
27市町が「通勤先と転入元が一致」しています。


つまり、
通勤エリアにおいて、
職住近接などのメリットから通勤先に転出したり、
子育てや住環境からベットタウンへ通勤先から転入したり、
という動きによって

県内移動の多くが説明できると考えられます。


さらに岐阜県は以下のような5類型を示しています。


タイプ1)ダム機能都市型
岐阜県からの転出傾向は、名古屋市の移動圏内にあり、
東京への移動は大きくはない。
中部地方として広域で考えたとき、
名古屋圏は人口の東京一極集中に対して一定の「ダム機能」
果たしており、
大きな定住圏の中での移動と考えられる。
こうした「ダム機能」は、より規模の小さい地域内でも起こっており
岐阜市大垣市高山市、関市、美濃加茂市については、
周辺の市町村からの転入や通勤者が多く、
地域の中心都市として機能している。

 

タイプ2)ダム機能都市通勤圏型
岐阜県の社会動態は、
学業(10代後半から20代前半)、
職業(20代)、
結婚(20代後半から30代前半の女性)などの理由による転出が多く、
住居を理由とした転入が多いことから、
愛知県や上記Aの都市への通勤者が多く、
昼夜間人口比率が低い(昼間は他の市町村にいる)という状況にある。

 

タイプ3)愛知県通勤圏型
岐阜県内で消滅可能性都市として挙げられた都市の社会移動を見ると、
転出先は比較的県内の他の市町村が多い。
他方、人口も多く、転入者も多い東濃圏域南部や西濃圏域南部
(多治見市、土岐市瑞浪市海津市可児市御嵩町)で、
隣接しており交通も便利な愛知県への転出や通勤が多くみられる。

 

タイプ4)ハイブリッド型
上記2、3 の両方の特徴を持つ市町村で、
県内におけるダム機能を持つ市や、
愛知県への通勤が多くみられる岐阜圏域南部
羽島市各務原市瑞穂市岐南町笠松町坂祝町)の市町。

 

タイプ5)自己完結型
中山間地の市町村では、
周辺の他の市町村に十分な雇用がなかったり、
地域内に働く場所があるなどの理由で、
他の地域への転出も通勤も少なく、
自市町村内で就業し、
暮らしている人が多いところがある
中津川市恵那市郡上市下呂市、白川町、東白川村、白川村)。


この類型化自体も有用なのですが、
ササヤマンが感心したのは、
「各類型ごとにこういう施策が有効だ」という
政策のパッケージをしてしている
点です。


http://www.pref.gifu.lg.jp/kensei-unei/seisaku-plan/chiho-sosei/index.data/gifusousei-zantei-honpen1.pdf


たとえば、

ダム機能都市型(タイプ1)に対しては、
・地域医療の砦となる高機能医療機関の整備
を示す一方で、

ダム機能都市通勤圏型(タイプ2)に対しては、
・在宅医療・介護の充実
・ダム機能都市と連携した婚活事業
・親元近住の促進
・子育て世代の移住促進

などのベッドタウンを生かした方向性を示しています。


それぞれの施策の是非はさておき、
自らの都市の特徴を踏まえた施策を考えていくというスタンス
大変好ましいことだと思います。

ダム機能都市通勤圏型(タイプ2)において、
企業誘致を叫ぶよりも、
通勤の利便性などの住みやすさを打ち出す
というのは
理にかなっていると考えます。


兵庫県で分析してみる


せっかくなので
兵庫県、そして篠山市に当てはめてみるとどうなるかということを
試みてみたのが下の図です。(注1)

 

f:id:sasayaman:20150430204739j:plain


上記の図では、
経済産業省地域経済分析
において示している
 

・大阪経済圏
・神戸経済圏
・姫路経済圏

・西脇経済圏
・赤穂経済圏
・豊岡経済圏
・洲本経済圏

についても色分けで示しています。

この経済圏の色分けと、
都市のタイプを眺めてみます。


大阪経済圏姫路経済圏については
割とわかりやすい構図です。


大阪と姫路については、
経済圏ごとに、
通勤、転出入がなされている
というのがわかります。


一方で、
神戸経済圏については、
神戸市がダム機能都市(タイプ1)として
一定の存在感
を発揮するものの、

加古川市のようなそれ自体でマーケットとして十分に大きい
ベッドタウンがあるため、
そこをコアとした通勤圏
もできています。


全県的に見てみると、

・ダム機能都市型(タイプ1)
については、
県内よりも県外との人口のやりとりが大きいことが見てとれます。


つまり、
ダム機能都市や大阪とのつながりが強い都市については、
大阪や県外との人口のやりとり
をしている一方で、

それらの都市に経済的な意味でぶら下がっている都市については、
それらの都市との人口のやりとり
が多いことがわかります。


各市町がどのように社会減を減らしていくのかを考えたとき、
自らがどちらのタイプなのか、
どこと人口のやりとりをしているのかを見極めたうえで
施策を打ち出す必要
があると考えます。

 

兵庫県全体の動向を見たところで、
篠山市については改めて次回以降に書きます。

 

ではではまた次回。

 

 

(注1)

国勢調査を元に作成。

市町のタイプ分けについては、

岐阜県人口ビジョンに準拠して、

 

タイプ1:

人口5万人以上、

昼夜間人口比率100%以上

 

タイプ2:

タイプ1への通勤比率10%以上

 

タイプ3:

大阪府への通勤比率10%以上、

タイプ1への通勤比率10%未満

 

タイプ4:

大阪府への通勤比率10%以上、

タイプ1への通勤比率10%以上

 

タイプ5:

昼夜間人口比率90%以上、

他市町通勤比率(最多)10%未満、

大阪府への通勤比率10%未満、

タイプ1以外

 

なお、

他市町通勤比率10%以上で

タイプ2、4に該当しないパターンを

タイプ6とした。