篠山市はベッドタウンになりうるのか?
☆篠山市は自己完結型都市?
以前の記事で兵庫県内の人口パターンを分析しました。
あらためて、表を眺めてみましょう。
篠山市に注目してみると、
最も県内で通勤先として多いのは三田市で約8%。
大阪圏へは約6%です。
三田市が
神戸市へ12%、大阪府へ17%通勤していることを考えると、
そこまで大きな数とは言えません。
以前の記事で示した岐阜県の分析モデルの類型によっても、
篠山市は周囲へ通勤する都市ではなく、
自己完結型の都市として位置づけられることになります。
また、同様に以前の記事で示した
篠山市は大阪経済圏にも神戸経済圏にも組み込まれていません。
誤解を恐れずに言うのであれば、
経済圏・生活圏としてはひとりぼっちになっています。
☆年齢に着目すると
とはいえ篠山の場合、
農業を市内で営む人が多いことを忘れてはなりません。
国勢調査(第1表)に基づいて計算すると、
篠山市から県外へ通勤する就業者は6.8%ですが、
このうち農業関係者を除くと、
その県外通勤者の割合は7.7%に増加します。
篠山市からの県内通勤者についても、
農業関係者を除くと、
20.9%から23.6%に増加します。
篠山市の農業関係者に占める
65歳以上の方の割合は73%。
60歳以上であれば86%に達します。
この高齢者のウエイトは他の産業と比べても群を抜いています。
したがって、この高齢の農家の方を母数から除いて
若年層、中年層で見ると、
篠山市から市外への通勤の割合は上記のように増加します。
☆福知山線という観点では
また、
福知山線沿線という観点では、
同じ方面への通勤です。
同様に神戸市へも3%の通勤があり、
この3つをあわせれば15%以上が福知山線を南下していることになります。
☆ベッドタウンとはならないまでも、三田や大阪も意識する必要
上記のように、高齢の農家を除外すると、
篠山市は福知山沿線の都市へ通勤する住民が相当いることが分かります。
今後の三田や大阪の人口や経済状況がどのように変わるのかによって、
多くの人が影響を受けることになります。
篠山市内へ企業誘致などで仕事を作ろうとするのも結構なのですが、
三田や大阪を含めた経済圏で
いかに雇用を確保するかという発想も必要だと考えます。
他の都市のベッドタウンになる必要はありませんが、
圏域全体で発展し、
その圏域の中でいいところをとっていくという考えもありです。
三田や大阪に住んでいる人間に対して、
篠山の観光地としての魅力や田舎としての住みやすさを訴え、
あるいは通勤の利便性の向上を進めることも、
定住促進の点からは有効な選択肢になるのではないでしょうか。