もしも京丹後市方式で全市町村が人口を推計したら
結論
日本の人口が2060年に2.4億人になる。
さて、以前に京丹後市の人口推計って
どうなんよという話を書きましたが、
この京丹後市の人口の見込み方は、
国立社会保障・人口問題研究所(以下社人研)が
公表している基礎データを元に行っており、
京丹後市が設定している条件を追加することで、
エクセルなんかで自分で市の推計を再現することが可能です。
そこで、
同じ方式(注1)で日本全国の市町村が人口を推計したらどうなるのか
を考えてみました。
☆京丹後市方式だと日本全体の人口が2.4億人に
結果は以下の通りです。
日本全体で2.4億人。
首都圏は倍増の7千万人超。
京都府だけでも今の倍です。
同じ方式ですると、
現在4.3万人の人口が、
2060年には6.0万人になりました。
京丹後市のような自治体はまだしも、
人口増加傾向にある首都圏などで
「25歳~49歳の人口移動率に
なんていう設定をしたら、
まあこんな浮世離れした数値が出てきますよね。
☆首都圏は人口を放出すると仮定すると、首都圏の人口は4割減
そこで少し条件を追加してみます。
<追加条件その1>
首都圏以外の市町村へ移動(増加)した人口の分だけ、
首都圏の市町村から減少。
→これは考えてみれば当たり前の話で、
日本の人口の総数が変わらないなら
ゼロサムゲームとして、
地方が人口増やした分どこかが減るでしょうという話です。
もちろん、限界集落から吸い上げるとか、
地方の拠点都市から減少するとか、
いろいろなパターンは考えられますが、
もともとの「東京一極集中の是正」というコンセプトをいかして
ここでは首都圏から首都圏以外への人口の移動を想定します。
具体的には、首都圏以外の全市町村で
京丹後市方式で計算した人口移動率の5%改善分の数値を計算。
それを首都圏の各都市において
2010年の人口に基づいて減少させます。
<追加条件その2>
京丹後市以上に人口が多い都市については、
人口移動率が青天井にならないようにする。
→これも言われてみればその通りで、
京丹後市レベルの人口で5%ずつ改善が
百歩譲ってありうるとしても、
100万人規模とかの大きな人口規模の都市において
同じ%で改善するというのはやり過ぎだろうという話。
そこで、京丹後市の人口の5%の改善について、
%から絶対数に置き換えた上で、
同程度の人口の「絶対数の」改善が他の市町村にも起こると仮定します。
結果は、、、
首都圏人口は、今の64%にまで落ち込みます。
首都圏以外の人口が2割増になり、
日本全体でも1.3億人と現状以上の人口になります。
日本全体でも1.3億人とプラスになっているのは
出生率の設定によるもの(注2)だと思いますが、
このような首都圏と首都圏以外での人口の動きは示唆に富んでいます。
本当に「東京一極集中の是正」を目指して
地方に人を呼ぶことは、こういうことを意味します。
大事な事は、
日本国内での人口移動はゼロサムゲームだということ。
全ての市町村が「誰が競合」で「どういう構造のゲーム」なのかを
わからずに安直に目標設定すると、
日本の人口が倍増するというようなシュールな帰結になるわけです。
ではではまた次回。
(注1)
出生率については、
京丹後市は過去の自らの最大値である
2.32まで回復する方式をとっていますが、
さすがに全市町村の過去の最大値を調べるのは大変なので、
2015年1.3
→2020年1.5
→2025年1.8
→2030年以降2.1
という回復があるという前提で試算。
人口移動率については、
京丹後市方式をそのまま採用。
すなわち、
・20歳~24歳の人口移動率に
2020年から5年毎に一律3%向上
(2015~2020年までは1.2%向上で試算
2015年1.3
→2020年1.5
→2025年1.8
→2030年以降2.1
という出生率になる事を前提としましたが、
当然、これは平均値であるべきもの。
国が平均値が上記の値となりつつ、
各市町村がそれと同じ伸び率になった場合には、
日本の人口は2060年に1億人程度になると推計しているので、
1.3億人という推計は3割引くらいする必要があります。